附属端艇部通信第3号

ヘッドコーチの鈴木啓介です。今回は関東ブロックレポートをお届けいたします。関東ブロックは23日に配艇、24日、25日がレースという日程で相模湖にて行われました。3日間を通してとても暑く、どの選手たちにとっても非常に過酷な条件のもとでのレースとなりました。

まず、24日、レース1日目はまず予選です。関東各都県を二組に分け、我が東京は、茨城、神奈川、栃木との4艇レースの組となりました。午後からは風が強くなるということもあって予選は全て午前に組まれていましたが、それでもそれなりの逆流の中のスタートとなりました。スタートで茨城選抜が飛び出し、次に慶応、そして附属、佐野と続く展開となりました。附属クルーはスタートもまずまず、コンスタントにおいても500mまでは慶応にくらいついていましたが、そこからやや失速し、最後には猛然とスパートをかけてきた佐野高校にも差されてしまい、4位でゴールしました。予選のもう一組は館林高校が3位となったので、佐野、附属、館林による敗者復活戦(1艇上がり)ということになりました。

敗者復活戦は発艇15時とやや余裕があったので一度宿に戻りました。そこでミーティングを行い、改めて関東という場所のレベルの高さを再確認し、どうしたら明日の決勝に残れるかということを考えました。タイムとしては別の組の館林には勝っていたものの、予選で同じ組だった佐野には途中で差されて3秒差をつけられていました。明日の決勝に残るためにはどうしてもその中で一位にならなければなりません。前半でどれだけ差を広げられるか、そして後半でどれだけ詰められずに粘りきれるかということがポイントになりました。3秒という差は決して小さくありませんが、負けたら当日Uターンというまさに崖っぷちということでモチベーションを高めていきました。

宿に一度帰ることができたおかげで休養十分、もう一度気持ちも切り替えて臨むことができました。午後だったこともあり、午前中以上に風が強く、5m/sという強風の中でのレースとなったものの、やはり序盤は思惑通り前に出ることができ、一本一本しっかりとした押しで艇を進めることができました。先ほどに比べて、500m地点通過後も気合の入った一本を続けることができましたが、それでもやはり後半の力は特筆すべきものがある佐野高校、水があくかというくらいあった差がみるみる縮まっていきラストスパートにおいて一度は並ばれました。しかし、附属も今度は譲らずに一進一退、附属がやや差し返したかというところでゴールになりました。選手、COXですらほとんどわからないほどの微妙な差で結果を聞くまでは本当にどちらが勝ったのかわからないというレースでした。

結果は0.5秒という僅差でなんとか附属が決勝への切符を手にしました。大概の二年生は経験できないこの時期の上の大会において、敗復とはいえこれほどの接戦をなんとかものにできたことは選手たちにとっても大きな経験でしたし、あと1レースの経験をここ相模湖でさせてもらえることをとりあえずは喜びました。そしてミーティングにおいて、今度は決勝の場においてどういったレースをすればいいのかについて考えました。予選から、明らかに格上挑戦ではあるものの、決勝という場に辿りつくことができたからにはなんとか国体への切符を手に入れたいということで、予選で6秒差をつけられたものの次に近い河口湖高校を完全に相手として対策を立てました。先ほど予選で3秒つけられた相手をなんとか退けることができたので、おそらく河口湖とも一艇身圏内の闘いができるのではないかと踏んで展開を考えました。相手は予選の結果からほぼイーブンペースでくるだろうということで、前半500mは絶対に前に出ていたいということを確認し、後半は死んでも粘りきるということを決めました。

そして25日がやってきました。初日の激闘の疲れもそれほどなく、時間も余裕をもってレースにむかうことができました。相手は河口湖、他は気にせずに自分たちの漕ぎをしようと言って送り出しました。レースは10時10分、レーンは1レーンでした。スタートし、やはり茨城、千葉が前に出て、慶応がそれに続き、附属と河口湖はほとんど並んでレースを進めました。前半500mまでリードできれば希望が見えてくるという思いをもって、なんとか4位で500mを通過しました。しかし1秒もないほどの僅差で河口湖が追ってきます。敗復でぎりぎりの攻防を経験したことがここで生きたのではないかと思います。おそらく予選時であればここから差されてずるずる離されていたことでしょうが、600m付近でやや力強さを失った漕ぎをラストスパートで取り戻し、ぴったり並んだ相手と競り合う展開となりました。最後は残念ながら河口湖の意地に屈し1.5秒差で5位となってしまいましたが、初日の6秒差を3レースを経てここまで縮められたことには間違いなく実入りがあったと感じています。

総括になりますが、一般的に三年生が最後の引退をかけた試合をする大会の一つであるだけあって、例年に比べると力量的に恵まれた今年のクルーでも全体的にかなりの苦戦となりました。しかし、その中でも一戦一戦を経る毎にはっきりとした成長が見られたことが収穫であったと思います。あと一息のところで国体本戦行きを逃したことは本当に悔しい限りですが、この貴重な経験を秋、完全に同世代同士の戦いとなった時のアドバンテージとして活かしていければと考えています。今回上位3クルーには完全な力の差を見せつけられてしまいましたが、3年間鍛えた強豪がどれほどのものかということを実際に選手たちが感じ取れたこと、そしてこれからさらに上のレベルへと進んでいく際の指標が見えたことなど、今後につながる非常によい経験であったと思います。自分自身、まだまだ状況判断が甘いと痛感させられましたし、今回の反省点をこれからのコーチングにしっかりと反映させていきたいです。

最後に、忙しい合間を縫って応援に駆けつけてくださったOB・OGの皆様、そして遠い宿と試合会場への移動に車を出してくださった方々、本当にありがとうございました。附属の遠征は本当に皆様の協力があってこそ成り立っているのだということを実感しています。これから夏本番ですが、しっかりとした練習を積んで秋にさらに成長した彼らの姿をお見せできればと思います。長くなりましたが、これで関東ブロックレポートを終わります。

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