附属端艇部通信第21号

現場スタッフから

114回 近藤清太郎

久しぶりですが、現場の報告をします。

昨年のシーズンは、11月の東日本新人選手権関東ブロックで対校クルーが準決勝敗退という結果で幕を閉じました。この大会についてはレースレポートに詳しいですが、他の高校との体力の差を見せ付けられた一方、タイム的には決勝クルーに食い込むことができ、東京予選からの練習が少なかったにもかかわらずなかなかの成長が見せられたという意味で事後的にはいい効果を生んでいく大会だったと思います。

大会後は、開成レースに挑むクルーの決定を年内と定め、それまでの期間をシートレース及び1年生の技術向上の期間として当てました。この期間、一人ひとりの癖を把握しそれに対する技術指導をしたのは当然ですが、私としては一つには対校クルーを組みなおしたほうがいいのか、もう一つには1年生を中心としたクルーを組んでいく中で、どのように組めばよりいいクルーを作ることができるのか、を考えながら練習を観察しました。前者の観点は、開成レースに挑むにあたって新人戦に出場したクルーをそのまま続けたとしても、現在の実力ではその勝利は確実なものではないだろうという認識からのものです。もちろんそのままのクルーで3ヶ月練習してより強いクルーを目指すのが確実な選択でしたが、ここで守りに入るより、新しい要素をクルーに入れることによって何らかの革新が起こればそれはそれで面白いと考え、もう一人の2年生と1年生の有力選手数人を含めた形で改めて対校選手の選考に当たりました。後者の観点は、今年は1年生が多く例年より1年生の割合の高い艇が増えるため、経験の浅いクルーを一人前のクルーに育てるにはどういう組み方をすればもっとも効率がいいのかというものです。これは、自身の現役時代にジュニア艇に乗っていたとき、唯一の2年生であった113回の大坪先輩にだいぶ励まされてクルーが強くなれたという経験から、クルーが育っていくにはある程度その組み方による潜在的な要因があると考えるところから出てくる問題意識です。

以上のような観点を意識し、結果的には対校クルーには1年生を一人加え、残った二人の2年生を二つのジュニアクォドに配分、さらに1年生だけでダブルを組むということになりました。対校クルーの1年生である118回黒川は、技術こそそれまで乗っていた2年生より劣りますが、体力は十分対校レベルになっており、何よりモーションに対する誠実な姿勢がその後の成長を期待させるという点で選びました。また対校から漏れてしまった2年生の117回小田と二見は、確かに対校に乗った3人の二年生漕手より技術的・体力的に劣るところもありますが、それよりも持ち前の面倒見のよさと協調力で1年生を引っ張っていってくれることが十分期待できるという積極的な理由でも選びうる二人でした。また二人とも対校の経験があり、ある程度の高いレベルを知っていることも有利な点です。さらに、今回それまで固定していなかった1年生のコックスを二人選びました。非常に対照的な二人ですが、手塚はクレバーな視点で状況を見ることができる点で1年生の中では飛びぬけており、一方の中村はとにかくクルーを盛り上げていくのがうまいという点でコックスが適任だと判断しました。二人とも漕ぎたい気持ちも強かったようですが、理由を説明し納得してくれたようです。

さて、このような布陣で新年から練習を始めました。コーチには対校に近藤、ジュニアクォドに浅野、ダブルに林が当たり、とりあえずは1月27日にあったロングレースを目指しました。この大会は通常より長い3000メートルのタイムレースで、冬場の練習の成果を各クルーが試すレースです。練習期間が短く、ジュニアは艇の故障にも見舞われたこともあってけっしてよくやったとはいいがたい結果でしたが、対校は高校の部で2位をとれたので、もしかしたら前のクルーのほうが良かったのではないかという私自身の一抹の不安をなんとか消してくれました。ただ、風があったせいもありますが漕ぎ自体はあまり誉められたものではなく、さらなる練習の必要性を感じました。特に黒川は他の2年生を基準とした練習についていくのがやはり大変なようで、コーチとしてはそこをケアしつつ、練習の質が低下しないように意識しなければなりません。また、黒川だけでなくほかの二年生もいままでの漕ぎに安住することなく新しい漕ぎを試させ、コーチともども試行錯誤をしながらやっています。

ロングレースからこれまでの期間、対校は確実に漕ぎを向上させつつあり、なかなか早いタイムを出せるようにもなって来ました。ただそれが長い距離になると続かないのが現在の課題です。エルゴでの体力的には問題ないはずなので、どうにか漕ぎの効率性を高めていく必要があります。一方、ジュニアクォドは選手10人に対してコーチは浅野一人でなかなか一人の選手を集中して教えるようなことが出来ず、またロングレース後に多少中弛みしてしまったようで、若干成長が遅れています。しかし、最近はなにか掴んだようで再び士気を高めつつあり、私自身も対校に目途がついてきたので浅野を助けてジュニアの指導にも当たろうと考えています。27日から高校生はテスト期間ですが、それまでのあと数モーションを密度の濃いものにしていきたいものです。

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