第80回 開成レース

2008/04/19
埼玉県戸田ボートコース
OB KF(舵手付きナックルフォア)
C : 庄司 庸男
S : 竹村 雄二
3 : 佐藤 元昭
2 : 鈴木 幹雄
B : 二村 英男
招待2x (DISCOVERY)
S : 田中 俊平
B : 小山 拓摩
ジュニア4x+_A (蒼鱗)
C : 手塚 太久
S : 穂積 暢史
3 : 小田 裕将
2 : 船曳 隼大
B : 出口 拓磨
ジュニア4x+_B (珠龍)
C : 中村 鮎葉
S : 二見 紘史
3 : 堀野 剛史
2 : 山口 明彦
B : 岡田 彪利
対校4x+ (朱龍)
C : 隈部 壽照
S : 石塚 勇輝
3 : 黒川 良顕
2 : 寺嶋 黎
B : 行川 修平

OBレース (舵手付きナックルフォア)

OBレース, 2008/04/19 15:30
Lane Crew 300M Rank
1 開成艇友会 1’30"39 1
2 桐漕倶楽部 1’33"66 2

出艇直後、おそらく直前にクルーの紹介があったのだろう、附属の応援団の前で「ウワァーッ」という大歓声を受けて、クルーは大いに盛り上がった。スタート練習をしながらスタート地点へと向かう。

強い北風は時に渦さえ巻いて方向を変え、1700mのスタートラインに艇をまっすぐ並べることがなかなかできない。スタート時刻までまだ数分あり、その間に強風で艇が流されるし、向きも変わってしまう。おまけに漕いでいないと体がどんどん冷えてくる。寒いのでお互いに「早くやろうぜ」と言い合う。この時、4レーンの開成側から5レーンの附属クルーに「竹村はどこだ?」の声がかかった。あとで聞くと、声の主は附属72回と同期の開成・岡本氏で、附属クルーが同期主体と聞き遠方から駆けつけ参加したとのこと。スタート時には進行方向左前からの強い斜め逆風になっていた。

慣れない「アテンション……ゴッ!」によるスタートは練習どおり「8・8・8」ですぐにコンスタントピッチに。「ライトパドルに落とす」という計画だったが、安藤コーチの3戒「頑張らない、無理しない、すぐに諦める」はどこかにふっ飛んだ。強風の影響もあり、艇はスタート直後、少しバウサイドに曲がってしまったようだ。最大1艇身近くの差をつけられたが、一本一本の漕ぎに集中すると、じりじりと差は詰まっていった。

漕ぎながら、ふと岸の標識を見るとまだあと100m。この頃にはかなり疲労が増してきているのを感じた。コックスの「足蹴り行こう!」が雑念を打ち払い、再び漕ぎに集中。差はさらに詰まる。「あと50m」の声がかかり、最後の頑張り(頑張るなと言われたのに!)。差は詰まったものの差し切るまでには至らず、2分の1艇身の遅れでゴールした。

クルーが決まって3ヵ月、初練習から充実した1ヵ月だった。コーチの言葉どおり、クルー全員が楽しく漕ぐことができたのではないだろうか。(鈴木)

招待2x

招待2x, 2008/04/19 15:50
Lane Crew 500M 1000M Rank
1 学習院高等科 4’17"98 2
2 筑波大学附属高校 4’12"22 1

吹き荒れる逆風と、激しい逆流という厳しい状況下でのレースとなった。スタートは両艇同時に飛び出した。しかし互いに艇の方向が内側に曲がってしまい接触しかける。なおも5レーンに侵入してくる学習院に対して艇の方向を立て直しているうちに、カンバスほど出られてしまう。互いに隣のレーンを侵害しながらもレースは進み、先行する学習院は高いレートで艇を進め、附属は一本一本を大きく伸ばし、一進一退の攻防を見せた。中盤に入ると附属は安定した伸びで学習院との差をじりじりと詰め、500m付近で逆転する。差は約1艇身程に広がり、その後は学習院の猛烈な追い上げと、時折吹く猛烈な突風による減速などで一時的に差を詰められるものの、粘り強い漕ぎを見せた附属が1艇身の差を守りきりゴールした。

1週間前の敗戦の反省から、スタートでミスをせず落ち着いて艇を進めるという目標を持って今回のレースに臨んだ。かなりの悪状況の中でのレースであったが、良い漕ぎを見せることはできたと思う。自分自身の漕ぎを分析し、それを修正できたことが今回の勝利につながったのだろう。

1月にクルーを結成してから約3ヶ月半、二人は本当に順調に成長した。小山が怪我で出遅れ、二人で漕ぎだしてからも最初はオールさばきが全く合わず、試合に間に合うだろうかと不安になったこともあった。しかし二人は厳しい練習にも文句ひとつ言わずに全力で取り組み、漕ぎの技術も、蹴りの強度も日毎に上達していった。1年生だけのクルーで、先輩というお手本の漕ぎを間近で見られない状況の中でもここまで上手くなってこれたのは、自分たちの漕ぎを客観的に分析できていたからではないかと思う。その眼をもって、新入生の指導にあたり、自分たちの漕ぎもさらに上達させていってほしい。(林)

ジュニア4x+

招待4x+, 2008/04/19 16:00
Lane Crew 500M 1000M Rank
1 筑波大学附属高校_A 1’52"35 3’44"95 1
2 開成高校 1’51"33 3’46"61 2
3 筑波大学附属高校_B 1’53"05 3’52"04 3

朝から低い雲が戸田を覆い、風が轟々と吹いていたため、午後のレースは厳しいコンディションになることが予想されていた。実際にレース前には雨が降り始め、激しい風と逆流の中レースに臨むこととなった。3艇はほぼ並んでスタートするが、開成がわずかに先行し、次いで蒼麟がカンバス差、珠龍が半艇身差で追う形となる。ここで焦ってしまいそうなところを両艇とも良く耐え、しっかりと食らいついた。500m地点通過時点でもまだ先行されていたが、ここで附属が仕掛け始める。珠龍は苦手なコンディションの中良く粘ったが、少しずつ開成に離されていってしまった。一方蒼麟は得意のスパートをかけて艇を伸ばしていく。そして第4クオーターに差し掛かる頃、遂に開成を差し切る。その後蒼麟はじりじりと差を広げて行き、1位でゴールラインをくぐった。珠龍は開成から1.5艇身ほど遅れてゴールした。

思えば長い冬だった。クルー結成当時、蒼麟も珠龍も問題点が山積みであった。件の事故もあり、新2年生(当時の1年生達)には圧倒的に経験が足りていなかった。とりわけ蒼麟は、もともと難しい船だとはいえ、艇の挙動が驚くべき乱雑さを見せており、先が思いやられた。加えて、私一人で2艇、計10人を見なくてはならないということもあって、満足に技術指導できないことに歯がゆさを感じてもいた。しかし、彼らはそのような逆境の中で精神的に成長していった。以前より遥かに周りが見えるようになり、艇の内部で互いを高めあえるようになった。それを先導したのは二見と小田、二人の2年生だ。更に2艇での並べを繰り返すうち、両艇の間に良い競争心が生まれていった。1艇が成長すれば、負けじともう1艇も努力した。艇の中での結束はもちろん、ジュニアクルーとしての一体感が生まれていった。

今回勝ったのは蒼鱗で、珠龍は惜しくも開成に敗れた。だがこの蒼麟の栄光は、ジュニアクルー全体で勝ち取ったものだ。珠龍なくして今回の勝利はなかった。ジュニアクルーがかくも一体となって戦って来れたことを、私は誇りに思う。そして、今日まで頑張ってくれた小田と二見に感謝したい。今まで有難う。2年生たちは、君たちから実に多くのことを学べた。君たちが漕ぎを通して教えた技術、いつも全力で漕いでいく姿勢は、これからも附属に受け継がれていくだろう。2年生たちは彼らに教わったことを忘れず、これからも精進を続けて行って欲しい。(浅野)

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対校4x+

対校4x+, 2008/04/19 16:10
Lane Crew 500M 1000M Rank
1 筑波大学附属高校 1’41"04 3’26"32 1
2 開成高校 1’44"06 3’27"82 2

ジュニアとダブルの選手はみなすでに出艇している。艇庫に残ったのは対校クルーの5人と私だけ。常に注目されるクルーが最も孤独になるのがこの瞬間である。空のどんよりとした暗さが、お花見・院戦の時と違ってさらに陰鬱な緊張をかき立てた。私は艇庫の入り口に5人をポンドに向かせて立たせ、両肩を後ろから順々に叩いた。「この肩には今、これまでの附属の歴史、この1年間の漕ぎすべてが乗っかっている。でもそれをプレッシャーではなくて、誇りに思って欲しい。毎年この高校のこの部活、その中のたった5人だけが背負うことのできるものを君たちは背負っている。君たちは僕の自慢のクルーだから大丈夫だ」

春特有の当り散らすかのような風の中スタート。お花見の時のような伸びはない。開成がしっかり並んでくる。コンスタントの入りで半艇身つけるものの、そこからはどちらも譲らない、緊張した展開でレースは進む。半分を過ぎたところで開成がスパートを入れてくる。こちらがお花見や院戦で前半出し切りのペースだったことを考慮してだろうか、しかし附属もいつまでも同じ漕ぎはしない。漕ぎを大きくしてなんとか差を保つ。残り250メートルで附属はラストスパートをいれ、一気に水をあける。しかしそこから開成が怒涛のスパート。再び半艇身まで詰め寄るが、附属が終始落ち着いた漕ぎで逃げ切った。

開成は近年で最強だったと断言できる。低めのレートでの確実な押し。的確なペース配分。そして最後まであきらめないガッツ。両校のクルーがそれぞれのポテンシャルを最大限引き出しあった、80回大会にふさわしいすばらしいレースだった。

レース後、選手は私に感謝の言葉をかけてくれたが、私には何よりもレースでの一本一本、特にラスト開成に差されながらも焦らず確実に押した最後の10本が、これまで教えてきたことの結晶のように思われてうれしかった。いい漕ぎをありがとう。(近藤)

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