附属端艇部通信第6号

ヘッドコーチの鈴木です。今回は関東選抜のレポートをお伝えいたします。前号の端艇部通信にも書きましたが、関東に先立つ東日本新人選手権大会において我々附属クルーは万全の体制で臨んだにもかかわらず早大学院の前に敗北を喫してしまいました。今年の関東選抜における全ての始まりはまさにそこにあったと言っても過言ではないでしょう。

まず敗因をじっくり検証し、自分たちに足りなかったものについて考え、関東までの課題としました。夏の大会で一年生とクルーを組んだ時に無駄に力んでしまう漕ぎになってしまっていたことなどが挙げられ、艇を進めるということの重要性を改めて認識しなおしました。勿論、純粋に早大学院が強かったということもあり、今となっては関東を迎える前に東京にこれほどのライバルがいたことで危機感を持たせてくれたことに感謝している次第です。

そして関東選抜まで残り一ヶ月ということで綿密な計画を立てていきましたが、その時クルーから「合宿をしたい」という話が持ち上がりました。クルーの中からそこまでの決意を出してくれたことを非常にうれしく感じ、自分も徹底してコーチングにあたろうと思ったことを覚えています。学校の決まり上合宿は年一回だけなので、宿泊はせず、秋休みを利用して日帰りながらメニューは合宿並みというハードな一週間を送ることになりました。

関東選抜に向けた最初の練習では、前からやってみようと思っていたのですが試しにストロークとバウを入れ替えてみて、体格的なことも含めて艇の動きがさらにスムーズに感じられたので思い切って替えてみたりもしました。それでミニ合宿へと突入しましたが、目標がしっかりしていることで練習の質も非常に高く、ロング漕で培った漕ぎを短距離に凝縮していく練習を何度も繰り返していくうちに全体がシンクロして進めていく感覚が掴めるようになってきました。合宿終了時期に艇の伸びは最高潮に達し、関東選抜まで残り2週間となりました。そこから一度疲労もあってか調子を落としてしまったのですが、リフレッシュして最後の一週間で再び伸びを取り戻し本番に臨むことができました。「やるべきことは全てやった」そう思える一ヶ月でした。

いよいよ迎えた河口湖・関東選抜大会。念入りにリギングをして予選に臨みましたが、久しぶりの遠征で悪くはなかったもののいまいち調子を出せないまま3位で敗復に回ることになりました(思えばこの時の1位、2位がそのまま関東選抜1位、2位だったのですが)。もう一度河口湖の感覚を掴むことに専念して臨んだ敗復では、出艇時からノーワークが完璧にシンクロしていたので「これはいける」と思った記憶があります。レースでは2位に10秒もの差をつけることができ、1レース余計に漕いだ疲労は確かにありますが、予選を突破した他艇より河口湖経験値で勝っていると考え、次の日に備えました。

そしていよいよ準決勝です。ここから決勝に行けるのはたったの6艇、半分の椅子をめぐる厳しい戦いです。しかし、ここに来て我ら附属クルーはコンスタントの精度を追求し続けた練習の成果を十二分に発揮して上位集団に取り付いたばかりか、ラストスパートにおいてさらに一艇競り落とし2位で決勝進出を果たすことができました。間違いなくクルー結成後の会心の漕ぎであり、おそらく東京勢クォドルプルとしては初めての決勝進出ということで沸き上がり、数時間後に控える最後の舞台でも悔いのないレースができるよう願いました。残念ながら準決勝別組となった早大学院は非常に見応えのあるいいレースでしたが惜しくも4位で東京勢揃っての決勝という快挙はお預けになりましたが、近年遅れをとっていた東京都の印象を変えたことは間違いないでしょう。

ついに決勝の舞台。自分の現役時代届かなかった(準決4位敗退)場所にコーチとして立てることに感慨を覚えつつレースを迎えました。レースでは途中全艇を大波が襲うアクシデントもありましたが、クルーはしっかりとした押しを貫徹し、この大会では五年前の最強世代とも言うべきフォアクルーが成し遂げた記録に並ぶ決勝4位入賞を成し遂げることになりました。

激闘に次ぐ激闘の疲れを癒した後、これから春の対校戦に向けた長くて辛い冬が始まりますが、今回のように目的意識を持っていけばきっと乗り切れると確信しております。また皆様の前で漕ぎをお見せできる日へ向けて精進していきますのでよろしくおねがいします。

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