附属端艇部通信第13号

現場スタッフから

113回 西村 健

ヘッドコーチの西村健です。先日開催されました関東選抜大会までの活動状況について報告したいと思います。東日本選手権後、男子は、ダブルスカル2艇、クォドルプル2艇にクルー編成を行いました。クォドルプル1艇をファーストクルーとして2年生だけでクルーを組み、ダブルスカルチームともう1つのクォドルプルに2年生の齋藤、小島をリーダーとして配置し東日本新人選手権に臨みました。その結果、クォドルプルが東京都2位で通過し、関東選抜大会への出場を決めました。他の3艇は、2年生を中心としてとてもよくまとっまっていましたが、残念ながら都予選を突破することは出来ませんでした。以下、私西村が主に担当しましたクォドルプルをレポートしたいと思います。

ファーストクルーはおよそ半年前のI.H.予選、国体都予選と同じメンバー、当初は以前練習したことがあるクルーということですぐに漕ぎが合うだろうと高をくくっていましたが、しばらく一緒に漕いでいなかったせいか全く合わず、思わず笑ってしまうほどでした。そこで今一度、スライドを重くしてキャッチを狙うということを意識したメニューを多く練習に取り込みました。その過程でストロークとバウを入れ替えてみて、外からの感じと艇上の選手の意見によりそのまま替えました。替えてもなかなか合わないものですが、それでもロング漕を重ねるうちに選手は新しいストロークの雰囲気を掴み、徐々に合わせる意識は高まっていったと思います。しかし、試合間隔が短く、高レートでの安定感の欠けたまま東日本新人選手権を迎えることになりました。試合の日は、秋には珍しい暴風が吹き荒れる厳しいコンディションでした。当然、クルーとしての完成度の低い附属クルーは風に翻弄されるがままの試合となり、目標としていた都予選1位通過は、早大学院にしてやられました。特に、決勝でのラストスパートでの漕ぎの力強さは決定的に違いました。

圧倒的敗北を喫し、このままでは関東の舞台では太刀打ちできないと改めて感じました。選手達からも、モーション数が全然足りないということで、秋休みを利用して可能な限り午前、午後と1日中戸田で練習する日々が続きました。艇上での選手達に合間の休憩の時間で話し合わせたりなどして、コーチ、選手間の目指すべきものの統一を図りました。やはり、新人戦で課題であった高レート、特にスタートではないかとまとまりました。高レートの練習を増やすとフィニッシュでの最後の押しが弱くなるものです。私自身、現役時代に最後の最後まで押し切りには苦労し、コーチに注意され続けました。少しでも長く水を押すことを課題とし最後の調整をしました。

関東選抜大会の開催地は、私も現役時代に同大会で経験した河口湖です。日が昇ると風、波ともに強くなるため試合開始時刻が極めて早い漕艇場です。試合前日の配艇も事前にリギングの練習を行っていたため滞りなく終わり、翌日からの試合に備えました。1日目の予選は、スタートから津久井高校(今大会優勝高)についていくものの最後突き放され2位。出来は良くないが、敗復周りを避けられほっとしました。午前中に試合を終え、体を十分に休めて2日目の試合に挑めるのは大きなアドバンテージです。2日目の準決勝には、都予選で完敗した早大学院もいます。岸からでは順位が全く分からないほどの激戦でどうなることかと思いましたが、宿敵早大学院に遂に勝利することが出来、何とか2位で決勝に駒を進めました。このことは、春先の試合からずっと早大学院に負け続けてきたクルーにとって大変自信につながることであったと言えます。そして、準決勝から2時間後、遂に決勝戦です。私の代、113,114回生クルーは準決勝で敗退しました。一気に期待と不安が押し寄せましたが、いつの間にか試合が始まり、他艇に差をつけられ、負けました。いい試合だったと素直に選手に声をかけることも出来ず、大変悔しい思いが残るレースでした。何のトラブルも無く漕ぎ切った結果が6位ということで、クルーの現段階での実力を出し切ったことだけが救いです。

さて、冷静になってみると決勝6位入賞という結果は大変素晴らしいことだと思います。これだけの成果を出せたことは、春からの練習で全員が真面目に練習に取り組んできたことの証でしょう。しかし、この実績はすぐに忘れようと私は思いました。大事なのは、来春の附属クルーの実力です。これからが、本当の戦いです。寒さが厳しく、目標の見えにくい冬場にこそ、得られるものは多いのではないでしょうか。選手1人1人がその中で成長した結果が「対校戦勝利」であることを信じ、自分にとっても最後の冬に、今まで培ってきた全てをぶつけたいと思います。皆様のご声援を宜しくお願いします。

113回 畑中 正明

女子コーチを務めさせていただいている113回の畑中です。女子ダブルのストロークに急遽ドクターストップがかかり、女子ダブルで全国を目指すという夢は叶いませんでしたが、そんな状況の中でクルー間の結束は前にも増して強くなったように感じます。今回の関東選抜では女子ダブルのバウがスカルで参加しましたが、短い練習期間の中で関東勢相手に善戦したと思います。今まで乗り親しんできたダブルとは違い、一人だけで漕ぐスカルに乗ったことで自分の漕ぎと向き合えたことは今後の発展に重要な土台となることでしょう。

今後の予定ですが、再びダブルを組むのはもうしばらく先になります。そのためダブルを組むことを前提として、バウには引き続きスカルで艇上感覚を養いつつ漕力を強化してもらいたいと思います。艇のエンジンでもあるバウがダブルの指令塔の役割を十分に発揮できるようコーチとしても今後も指導を続けていくつもりです。一方ストロークですが、現在医者から激しい運動を止められているため、自宅にて基礎運動能力の向上をしてもらっています。冬休みに入ってからの本格的な練習についてこられるような体作りを行い、春の試合ではブランクを感じさせない仕上がりに持っていけるよう頑張りたいです。

ダブルを再び組むまでのこの期間中、クルーはそれぞれに別々の苦しさを味わうと思います。今のこの苦しい時期を乗り越え勝利を手にするためにも、今後は危険信号を見逃さないよう注意して体調管理とトレーニングを行っていきたいと思います。一女戦に勝利し、開成レースの勝利に花を添えるというもう一つの夢のためにも、あくまで3人で高みを目指すことを胸に今後も努力していく次第です。どうぞこれからも端艇部を温かく見守ってくださるようよろしくお願いします。

関東選抜出場クルーから

116回 天野 友道

東京都予選が終了してから、関東大会まで3週間という短い時間の中で、私たちは、毎モーション集中して取り組めるように心がけました。

東京都予選では、強い流れと大きな波に対応できずに、クルーの中で漕ぎが揃わなかったので、まず、クルー全体で漕ぎをあわせること、そして、安定して艇を伸ばせるよう技術を身に着けることを目標としました。私はストロークとして、試合の1000mのなかで、うまくレートを調節し、特にラストスパートでスムーズにレートが上げられるようにすることも意識するようにしました。

今回の関東選抜では3回試合に出場したわけですが、やはり一番印象に残っているのは決勝戦です。スタートで他の艇に差をつけることができず、それどころか、スタート直後から出遅れてしまいました。蹴っても蹴っても追いつくことができず、最下位という結果に終わってしまいました。試合終了後、全国大会への進出が決まった他校のクルーから聞こえた歓声、そして彼らのうれしそうな表情が忘れられません。

最終的に、最大の敗因はスタミナ不足でした。全国に進出したクルーは、準決勝と決勝でタイムを比較すると、2試合の間に2時間しか間隔がなかったのに関わらず、ほとんど落ちていません。それとは対照的に、我々のタイムは大幅に落ちてしまいました。敗因は、技術のなさより、力のなさであることは明らかです。ボートに対するパッション不足、ともいえます。

春に待ち構えているレースに向けて、試合の反省を踏まえつつ、これからの冬のモーションを一つずつ確実にこなしていきたいと思います。今後ともどうぞ応援よろしくお願いします。

116回 道添 翔太郎

Attention go! こうして僕等のレースは始まった。風速0m、波は横波、2レーンの筑波大学附属高校、スタートはそこまで悪くなくまずまずの漕ぎ出しだった。しかし、隣の大宮高校と南稜高校から少しずつではあるが離されていった。僕達のクルーはスタートから出て、其後はあまり順位の変動なくゴールする傾向があるので、ここで抜かれて離されればもう終わりだと思い、ただがむしゃらに3番の頭を見ながらフルスライドで漕ぎ続けた。自分が今まで遣ってきた漕ぎを、1本1本を大切に漕げば最後にはいい結果が待っていると信じ続けて。しかし食いつくどころか、いつのまにか離されていました。結果的に6位という情けない順位でゴールした。こうしてあと1歩だった全国選抜出場の夢は閉ざされてしまった。先日行われた関東選抜決勝の事だった。

さて僕に残されたレースはもう年内にはなく、来シーズンに持ち越しとなってしまった。
この長い冬をどのように過ごすかが大切であろう。こんなことを言っている僕ではあるが
実は右肩を負傷している。連鎖関節炎というもので右だけを大量に使ったことによっておきたらしい。ヘッドコーチは、「対校クルーになるにはまずは健康であること」と言っていた。集団スポーツというのは全員が集まらないとゲームができなかったり練習ができなかったり他の方に迷惑をかける。だから練習に支障が出ないようにするようにできる人が必要とされるのである。僕は現在、猛練習をし続けるとキャッチの時に痛むことがある。このままではいけない。

これからの長い冬で治療するとともに僕の高校でのボート生活の最終章に向けて1日1日を大切にしていきたいと思う。

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