附属端艇部通信37号

寒さが一段と厳しくなり、今年もいよいよ残り僅かとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。広報幹事の117回の石塚です。

先の関東選抜大会も終わり、春の試合が1つの「ゴール」としていよいよ現実味を帯び始めるこの時期、現役の選手達やコーチ達は何を思っているのでしょうか。今回は選手、コーチ共に男女1人ずつに原稿を書いてもらいました。

大原 光平 (123回)

関東選抜都予選では3校が上の大会に出場できる中で、5校中4位で予選敗退でした。3位の開成高校とのタイム差は5秒で、2位の学習院高等科とのタイム差は10秒でした。来年の春に行われる、筑波大学附属高校漕艇部の集大成である院戦、開成レースではこれら2校に勝たなければなりません。勝つためには、モーションごとに、これまで以上にボートに対して真剣に向き合い、取り組んでいかなければなりません。そして何より、部員全員が「絶対に勝ちたい」と思っていないと、実力が拮抗しているところにどころか、勝てる試合も負けてしまいます。

これから院戦・開成レースに出場することとなる春のクルーが決まっていきます。クルーは1000トラの記録によって決まります。1000トラは、最後まで頑張り抜こうとした人が良いタイムを出せると思います。これからのモーションでは漕ぎのテクニックやパワーの他に、こうしたメンタル面も鍛え上げていきたいです。

國崎 真奈 (123回)

私自身、入部から8ヶ月が経ち、ボート競技の楽しさや厳しさを感じながら、日々練習を重ねてきた。

私たち女子クォドは、関東選抜に出場させていただき、強豪校とともに戦うという貴重な経験をすることができた。この試合は私達にとって漕ぎを見直す良い機会になり、課題が多く浮き彫りになった試合であった。一人一人の漕ぎはもちろん、クルー全体の動きやタイミング…。

これらの課題を改善していく事ともに、もう一つ取り組んでいることがある。それは、「春の試合に勝つために、今回出すべきタイムは何秒なのか」を毎回のモーションで意識することだ。これによって、決して多いとは言えない乗挺練習を、さらに有意義にしていくことが出来るようになってきたのではないかと思う。

まだまだ課題は多いものの、これらの取り組みが少しずつタイムにつながってきているようにも思える。春の試合までこの5人で日々の練習を大切に、一歩一歩前進していきたい。そしてその成果を必ず、試合で発揮したいと思う。

女子コーチ 児玉 恵 (119回)

自分達の圧倒的力不足を感じたあの関東選抜から1ヶ月。初めて全国区を身近で感じた現役は何を感じたのか。

女子は既に1女戦を見据えてクルーを編成しており、最初に迎えたこの秋の大会は、ある意味では通過点だった。ほとんど練習時間が取れなかったなかで、この大会から得たものを春の勝利のためにどのようにして生かしていくか。今の自分たちの力がどのくらいなのか、どこまで自分たちはやれるのか。

そして秋の大会までの練習の間に、現役たちは各自が力をつけ、出しあい、今の彼女らで可能なベストを尽くしたのだった。

春までは期間にして4ヶ月、練習回数にして30回強。時は流れるのが早く、また過ぎてしまった時はかえらない。1回々々の練習を無駄にせず、というよりも今からの時間全てを勝利のために使えるくらいの心構えが、現役たちにはほしいと思っている。何故なら私たちにはその覚悟が既にあるのだから。

男子コーチ 繁田 直樹 (120回)

時とは実に早いものである。私が新任のコーチとなってからは既に8か月が過ぎ、開成レースはあと4か月にまで迫ってきている。

4か月とは、長いようだが実に短い。ついこの間まで遠く未来のように思えていたあの試合が、いよいよ「もうすぐ起きること」として現実味を帯びてきた。現役がこの記事を読むことを考えれば、少しは見栄を張ったようなことも書きたくなるが、今回はそのような状況にある自分の、コーチ観について思ったままに述べてみたい。

開成レースを迎える頃には、私は立派な指導者として現役を引っ張り、時には叱り、また時には励ますような人格者になっていると想像していた。
だが、現実はそう甘くは無いことに、つい最近気がついた。
指導の際あれかこれかで迷うことなどたくさんあり、自分の思い描いていることをうまく現役に伝えられないこともたくさんある。要するに、まだ直すところは山ほどあるのだ。

そんな自分は、きっとワンマンコーチとして現役を強くリードする存在よりかは、現役と共に成長し、共に開成レースを戦い抜いてゆく存在の方が向いているのだろう。

もちろんこれは、決して指導者としての地位が揺らぐ要因ではない。クォドで例えると「第6番目のポジション」 ― 決して上下関係を排除した役職ではなく、ひとつのチームとして同一の運命に向かって突き進む共同体の構成員 ― と捉えることができるからだ。

このポジションこそが、私の居場所ではないか。そんなことをふと考える、まだ若い自分がいた。

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